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海外人事労務

労災保険の特別加入 海外赴任者は加入すべき?実例と補償内容について その2

Last Updated on 2023年10月1日 by 海外勤務のすすめ

前回の労災保険の特別加入について、続きのお話です。

労災保険の特別加入 海外赴任者は加入すべき?実例と補償内容について その1

今回はテロで被災した場合は労災か?そもそも任意である労災保険の特別加入制度を利用する必要があるのか?について、見ていきたいと思います。

1.テロで被災した場合は労災か?

昨今、海外では銃乱射や自動車暴走などテロ事件が頻発していますが、果たしてテロによって業務中に被災した場合は労災認定されるのでしょうか?

基本的な認定基準としては、国内の労働者の場合に準ずるとされています。

つまり、この場合も業務起因性、業務遂行性から判断されるわけですが、もう少し具体的に言えば、「労働契約に基づいて事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したものと経験則上認められるもの」が対象となります。

一例として、下記のような実例があります。

【概要】

平成3年7月、ペルーに赴任中の国際協力事業団(現在のJICA)の日本人農業技術者Aさんら3人が、反政府ゲリラに射殺された事件が発生した。3人は首都のリマ北部にある日本・ペルー合同農業研究施設で働いていた。Aさんらは、出勤した際、施設の玄関付近で待ち伏せしていた覆面の武装ゲリラに射殺された。

【結果】

3人に対して、新宿労基署は業務上の労働災害と認定した。

ポイントとしては、

・国際協力事業団では、労災保険の特別加入制度に加入していた。

・労基署は「同研究施設がゲリラの標的になっており、狙われる危険性がある中で仕事を続けていたと判断、業務との因果関係が強い」として申請を認めた。

このケースでは、労災と判断されましたが、それぞれのケースで結果が異なることも十分考えられます。必要に応じて、労災+アルファの補償を、民間保険などでカバーしておく方法も効果的です。なお、多くの企業が加入している海外旅行傷害保険では、テロに起因するケガの治療や死亡は「補償対象内」となります。

2.特別加入は必要か?

海外で仮に業務上のケガをした場合でも、よほど大きなケガでない限り会社で掛けている海外旅行保険や、現地保険などで治療してしまうのではないでしょうか?(ちなみに国内の場合、原則としては業務上のケガは健康保険で治療してはいけないこととなっていますが、任意加入の特別加入には「労災隠し」という概念がありません。)

そうなると、敢えて特別加入をする必要が無いようにも思えますね。

ただ、労災保険の本来の趣旨は、「被災者本人とその家族の生活の安定」が目的です。

つまり、労災保険は本来、被災者が就業できなくなった場合の生活の支援や、遺された家族の生活の安定のために設けられた保険で、万が一大きな事故に巻き込まれた際の家族への補償という側面が非常に大きいわけです。労災ほど手厚く、長期間遺族の支えになる保険は無いでしょう。

海外赴任者は労災を使うケースは限られますが、万が一の大きな事故に巻き込まれた場合などのため、会社としては特別加入制度を活用して備えておくことは重要です。

また、国内勤務者は無条件で労災の対象となりますので、社命で海外派遣している者も、同様に労災が使える状態にしておくことも重要です。

3.まとめ 特別加入の考え方

最後に、任意加入の特別加入ですが、どれくらいの企業が加入しているのでしょうか?以前聞いた数値では、海外進出企業の4割ほどと言われているそうです。(意外と少ないと感じました。)

個人的には海外派遣をする以上、特別加入されることを企業にお勧めします。

ちなみに、最近ではテロなどのセンセーショナルな出来事に目が行きがちですが、実は労災請求で圧倒的に多いのは過重労働(過労死)と、メンタルヘルス(うつ病による自殺など)です。特に海外駐在者の場合、本社の監督が届きにくく、異変も察知しづらくなります。単身赴任の場合は食生活なども不規則になりがちです。

最近では、会社は「不健康な状態で社員を働かせてはいけない」という流れになってきています。会社としては、積極的に赴任者の健康管理に注意を払い、実際に対策を講じる必要があります。

労災や民間保険を含めて「保険」は事後の補償となります。

まずは予防に注力し、海外で大変な事態にならないよう配慮する必要があるでしょう。

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