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海外人事労務

海外出張者の麻疹(はしか)予防接種について 流行に伴う注意喚起と対策

Last Updated on 2023年10月1日 by 海外勤務のすすめ

最近、沖縄県や愛知県を中心に、「麻疹(はしか)」が流行しているようですね。

国内での感染が取り沙汰されていますが、日系企業が出張する国の中にははしかの流行地域も多く、海外出張者に対する対応について、企業の関心が高まっています。

今回は、国内のはしか流行に伴って、会社として海外出張者へどのような対策が必要か、見ていきたいと思います。

1.麻疹(はしか)とは?

まずは、はしかとはどんな病気なのか、概略を確認しましょう。

はしか(麻疹)とは、麻疹ウイルスによって起こる感染症。感染すると、熱やせき、鼻水など風邪のような症状のほか、発疹が出る。重症化すると肺炎や脳炎といった合併症を起こし、患者千人に1人の割合で死亡する。

ウイルスはかなり小さく、マスクの目をすり抜けてしまう。感染力はインフルエンザの6倍あるといわれ、免疫を持っていない場合は、ほぼ100%発症するが、2回のワクチン接種で予防できる。

麻しん患者と接触した場合は、発病までの期間を考慮し、接触後最大21日間の健康観察が必要とされている。(産経ニュースより一部抜粋)

知りませんでしたが、はしかは強力な感染力なのですね・・・

ポイントとしては、以下になります。

・マスクやうがい等では防ぎきれないため、ワクチンの2回接種が何よりの予防策

・抗体を持っていない場合は、発症のリスクがかなり高い

・重症化して、死に至るケースもある

はしかについて、より詳しく確認したい人は、下記のサイトも参照してください。

厚生労働省 麻疹についてのQ&A

愛知県 はしかの発生に関する注意喚起

2.26歳から39歳の空白の世代

はしかの予防接種は、ほとんどの人は幼少期にワクチンを1回接種しているのですが、実は、1度だけの接種では免疫がつかない人が5%未満存在するようです。

現在では、はしかワクチンの2回接種が接種制度に組み込まれており、20代半ば以下の人は2回接種により漏れなく体に抗体を持っているということになります。その取り組みが実り、日本は2015年に世界保健機関(WHO)から麻しんの排除状態と認定を受けています。

しかしながら、このような接種体制が整う過渡期の期間には、1回しか予防接種を受けていないとされる人がおり、それが、現在26歳から39歳の世代とされています。

まさに30代の皆さんは、海外に頻繁に渡航する働き盛りの世代と言え、特にこの世代への対策が必要になりそうです。

※40歳以上の世代は定期接種でワクチンを接種する機会はなかったものの、多くの人が、はしかに自然感染しているため比較的リスクが低いとされているようです。

※前提として、1回接種でも90%以上の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また、罹患したとしても必ずしも重症化するものではありません。

3.はしかに対する企業の対策

まずは、海外のはしかの流行状況からみていきましょう。

実は、特に中国、東南アジアをはじめ、はしかは以前から流行しています。

下記の図はWHOによるはしかの感染状況の図ですが、茶色の国は特に感染が進んでおり、中でも中国、インド、インドネシア、モンゴル、パキスタンなどからの報告数が特に多い状況です。

図:WHO 各国の麻しん報告数(2017年9月2018年2月)

これらの地域への出張、または駐在は、特に注意が必要ですね。

それでは、企業としてどのような対策が必要か、具体的に見ていきましょう。

1.対象者への注意喚起

まずは対象者に注意喚起をする、ということが重要です。

現在、外務省もはしかについて注意喚起をしています。まずは、下記を参考に、はしかがどのような病気か、どんなリスクがあるのか、対象者に注意喚起をするようにしましょう。

外務省 スポット広域情報(2018年2月発出)海外における麻疹(はしか)・風疹に関する注意喚起

 

海外では以前から感染のリスクがあり、今に始まったことではありませんが、今回の国内のはしか流行に合わせて、注意喚起をされることをお勧めします。

2.予防接種の推奨

前述のとおり、現在20代後半から30代の人の中には、1回しかはしかの予防接種を受けていない人もおります。

会社としてこのような対象者には、はしかの流行について注意喚起した上で、本人が心配するようであれば抗体検査の受診を案内することも一つです。抗体検査とは、自身の抗体がどのような状況か検査をすることで、打つべきワクチンを医師と相談して決定できます。厚労省も接種歴がわからない人は、医療機関で抗体検査を受けるのが望ましいとしています。

なお、はしかだけでなく風疹・おたふくかぜ・水痘など4種類の抗体検査を受けることを推奨している病院もあります。このあたりは渡航先を医師とよく確認して、必要なものを接種するのが良いでしょう。

3.帰国者の経過観察

特に中国内陸部、インドネシア、インド等から帰国した出張者の体調については、注視する必要があります。はしか患者と接触した場合は、接触後最大21日間の健康観察が必要とされており、仮に海外出張から帰国した者の発熱が続く、などの症状がある場合は、はしかの感染を疑うことも必要です。

帰国後の体調不良は早めに会社に相談し、病院にかかるよう、出張者には事前に案内しておくことが重要です。また、感染が疑われる場合は、会社として感染拡大を防止するために、早めに最寄りの保健所に相談することも重要です。

 

いかがでしたか?

日系企業の出張国には、はしかに限らず、黄熱病や、デング熱等の流行地域もあります。海外から健康に帰ってきてもらうためにも、このような感染症に関する情報提供は重要です。

 

最後に、一つ注意点としては、予防接種は会社が「強制」してしまうことにもリスクがあります。はしかに限らずですが、予防接種を受けることでなんらかのアレルギー反応が出てしまう人も中にはいるようです。

会社としては、基本的に予防接種は推奨するが、本人が医師と相談して判断してもらうようにしておくほうが無難でしょう。

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