Last Updated on 2023年10月1日 by 海外勤務のすすめ
2018年2月、ブラジルでは黄熱病が大流行しました。
ブラジルといえば、リオやサンパウロなど邦人ビジネスマンも多く滞在しており、特にお子さんがいる家庭などは心配ですよね。
今回は、過去のブラジルの黄熱病の流行状況や特徴・対策について、簡単に見ていきたいと思います。(注意:予防接種など医療事項の詳細は、医師や専門機関にて直接ご確認ください。)
1.過去のブラジルでの流行状況について
それでは、過去のブラジルでの黄熱病の流行状況をチェックしてみましょう。
2017年3月頃
ブラジル保健省は、国内の約500名が黄熱病に感染し、このうち約160名が死亡、感染が疑われるものは1000名を超えたと発表。また、これまで黄熱病の感染の危険が無いとみられていたリオデジャネイロ州で感染者が確認され、大西洋沿岸地域への感染拡大が判明。サンパウロ州でも調査を開始。ブラジル政府は大規模なワクチン接種キャンペーンを実施。
2018年1月現在
世界保健機関(WHO)がサンパウロ州全域に対して、黄熱病ワクチン接種推奨地域との見解を発表。外国からの訪問者にワクチン接種を勧告した。同州では州の人口の半数にあたる2200万人分のワクチンを用意し接種を開始するも、ワクチンが不足する事態となった。また、ミナスジェライス州政府は、同州内の3つの市に対して6カ月間の公衆衛生緊急事態宣言を発令。1月時点で、ブラジルでは、700人以上が感染、250人以上が死亡する事態となっている。(Medical Xpress誌より抜粋)
日本にいるとニュースがなかなか入りませんが、現地では深刻な事態となっているようです。
2.黄熱病の症状と対策
ブラジルに渡航予定のある人は、まずは黄熱病について情報を収集しましょう。
現在厚生労働省や検疫所、外務省などをはじめ、黄熱病に関する様々な情報提供を行っています。下記の公的なサイトが分かりやすく入手すべき情報かと思いますので、まずはこちらをご確認されることをお勧めします。
黄熱病のポイント
・黄熱病は蚊を媒介して感染するウィルス型の感染症。
・中南米やアフリカなどでの感染例が多い。
・症状はインフルエンザの様な発熱があり、黄疸などが出ることもある。
・対策としては、ワクチンによる予防、蚊に刺されない対策を行う。
なお、症状について、感染しても症状がないか、軽い症状のみで終わってしまう場合もあります。
症状を呈した患者のうち15%が重症になり、黄疸、出血傾向を来たし、重症になった患者のうち2050%の患者が死亡すると言われており、発症した場合には、重症になるリスクの高い感染症です。(「厚生労働省:黄熱に関するQ&Aについて」より抜粋)
過度な心配は不要ですが、今回のようにブラジルの流行地域へ渡航する場合は、ワクチン接種が推奨されていますので、ワクチンでまずは予防し、そのうえで、蚊に刺されないような対策を行うことが重要です。
(画像:国立感染症センター)
蚊に刺されないための具体的な対策
・肌を露出して外出しない。特に山林部やゴルフコース等は長袖、長ズボンを着用する。
・蚊が活動する夜間などの外出を避ける。
・防虫剤(クリームやスプレー)、殺虫剤を活用する。
・ベランダ用プランタなど、蚊の繁殖する場所は取り除く。
他には、むやみに動物には近づかないことも重要です。(ブラジルではサルからの感染報告もあります。)まだ、黄熱病以外の蚊を媒介する感染症(デング熱やジカ熱)にも、上記の対策は有効になります。
3.ワクチンについて
ブラジルへ渡航する方には、黄熱ワクチンの接種が推奨されています。
ワクチンは予防接種に対応しているクリニックや、大規模空港の検疫所でも接種可能ですので、まずは病院や検疫所に確認されることをお勧めします。
なお、黄熱ワクチンは1回接種すれば、接種証明書(イエローカード)は生涯有効です。
ただ、接種すると4週後まで他のワクチンを接種できないので、接種スケジュールを考慮する必要があります。なお、今のところ、ブラジルではまだワクチン接種証明(イエローカード)は義務付けられていませんが、アフリカでは、黄熱病のワクチン接種が入国の際に必須とされる国もあります。
ブラジルへの渡航者には少し不安な情報ですが、しっかり対策をして安全に渡航してください。