Last Updated on 2023年10月1日 by 海外勤務のすすめ
最近では、海外駐在をしてみたいという、若手の方も増えてきたように感じます。
今回は、これから海外駐在を見据えて転職をされる若手の方向けに、日系某商社にて香港と米国に12年以上海外駐在をしている現役駐在者、NICKさんにアドバイスをもらいました。
とのこと、下記参考になれば幸いです。
1.駐在のチャンスを掴む
転職に限ったことではございませんが、社内でも社外でも、まずは
「海外駐在員が求められている部署、会社」を見つけること
が先決です。
海外現地法人がある企業だから、外資系企業だから、という漠然としたイメージや全体像を見るだけでは、ご自身が海外駐在員として働く道のりも漠然としています。そのような企業に勤めていれば、いつかはそのような可能性がある、というレベルであり確実性がありません。
まず海外駐在を目標とした転職活動をされるのであれば、募集要項にて「確実に海外勤務を求めている記載がある」企業に絞って活動をすべきです。
募集要項に「海外勤務有り」とわざわざ記載がある場合はその可能性が高いです。面接の質問などではしっかりその点を聞く必要があります。
また、自社内で駐在を希望する場合は、人事や、海外事業に関わる部署に積極的に接触を行い自己アピールすることが大切です。現部署が全く海外と接触の無い部署であれば、いくら直属の上司に相談しても意味がありませんし、月日だけが過ぎていきます。
昇給面接などで他部署や上層部に自己アピールをする機会があると思いますので、その際にここぞとばかりに将来海外駐在での仕事をしたいという思いを伝えておくことが大切です。
2.海外勤務を希望する理由を明確に整理する
海外駐在員を募集している会社、もしくは社内で求めている部署を見つけ出したら、面接やアピールの準備です。そこで最も必要なことは
「なぜ海外駐在員として働きたいのか」「そして自分はそこで役に立つ」という理由を明確にすることです。
学生時代から英語を勉強してきてそれを活かしたいとか、大きな視野で日本に留まらず広い世界で働いてみたい、というような曖昧な希望理由ではアピールとしては弱いです。
どの国で働きたい、という国指定もNGです。
転職活動であれば、今まで自分はどのような仕事に携わってきたか、それを希望する会社(部署)の海外法人でどのように活かすことができるか、また活かしたいのか、をしっかり説明できなくてはなりません。
過去に海外駐在の経験があればそれだけで大きなアピールポイントにはなりますが、海外駐在経験の無い方々にとっては、この説明が重要なポイントになります。
海外駐在員として働きたい本当は別の理由があったとしても、これが説明できないと道は開けません。
例えば、現在担当している客先が海外でも設計/生産している製品がある。そこで国内での営業経験を生かして、同客先の海外でも売り込みをしてワールドワイドでの売上/利益を増やしたい、というようなことや、直接会社の売上利益につながらなくても、国内で新工場を立ち上げたその経験を活かして海外の工場立ち上げに尽力したい、などの例があります。
企業は、その人物を海外現地法人に出向させて会社の利益、運営向上にどうつながるのかを見ています。
さらに海外駐在員の場合、日本国内と頻繁に連携が求められます。そのため、日本国内での社内人脈の構築が非常に大事になります。
海外駐在要員として転職が成功したとしても、日本国内での社内の立ち回りや文化、人脈の構築がまず第一になるということを頭に入れておかなくてはなりません。
それは日系の企業であろうと、外資系の企業であろうと、ご自身が日本人である以上必ず求められることになります。
注意ポイント
転職していきなりそのまま海外赴任というのは、過去に海外駐在で豊富に経験があり、すでにその会社の社員と人脈がある場合か、現地採用として入社する場合などに限られていると思ってください。
英語力の必要性
海外駐在を目指すのであれば、英語力は必須です。
欧米に関わらずアジア圏にしてみても基本的にビジネスのやりとりは英語が基本となります。
英語力と言っても特殊な業種でなければ、駐在員としては高校レベル+ビジネス英語少し、の読み書き会話、ができれば十分であると考えております。
TOEICで言えば600点前後くらいでしょうか。仕事面、生活面においてこの程度の英語力は無いと、結局良いパフォーマンスが発揮できないことになります。
参考
私は香港と米国に12年以上海外駐在をしておりますが、今までお付き合いのあった仕入先、客先、友人の駐在員でバイリンガルやネイティブ並に会話できる人、TOEIC800点以上、という人はほとんどお会いしたことがありません。
私は日系の商社に勤務しているのですが、別の業種に勤めていればまた取り巻く環境やお付き合いする人々も違ってくるのかもしれません。
3.その他心得ておくべきこと
転職して、更に海外駐在員として海外で働く、ということは環境がダブルで大きく変化します。
海外での仕事や生活で自分が描いていた通りになることもあるかもしれませんが、その逆も多くあるはずです。国によって違いますが、日本では考えられないような辛いことや、トラブルも多く発生します。
そのようなリスクも全て受け入れてでも強い希望がある、という自分自身の強い思いを忘れずに転職活動をしてください。
また日本から離れた環境ということで、ご家族がいる場合は、ご家族にも大きな負担を強いることになります。その理解をまず得ることが最優先となります。自分自身が海外駐在員として満足できてもご家族に大きな不満があれば意味がありません。
また、狭い日本人社会となりますので、仕事上のお付き合いも日本では無いような濃密なものとなり、接待などの機会も非常に多くなります。ご家族との時間や健康についても人一倍ケアが必要になってきます。
いずれにせよ、海外駐在員は企業としても非常にコストがかかる人員であり、また日本から離れていることで目が離れることから、自分をしっかり律し、尚且つ様々なストレスにも対処できる、そのような自信を自ら奮い立たせることができる人物が求められていることを理解しておく必要があるでしょう。
いかがでしたか?これから駐在を目指す皆さんの参考になれば幸いです。