この記事では筆者の現地採用と駐在員の経験から、日本国内への転職活動する前に気をつけなければいけないポイントについてまとめました。
駐在員あるいは現地採用などで海外在住している状態で日本へ転職活動する場合、通常の日本国内の転職活動とは違い、何点か注意しなければいけません。両者のそれぞれにある確認事項と共通する確認事項について説明したいと思います。
1.駐在員が日本国内転職活動前に注意すべきポイント
駐在員の場合、本社人事と在籍している拠点長に相談し、退職できるタイミングや本帰国にかかる費用の負担と帰国後の退職手続きを把握する必要があります。
駐在員が海外現地法人から去る場合、後任者の現地入りから引き継ぎ業務まで自分が在籍しするように拠点長から言われます。そのため後任者の引き継ぎ業務等のスケジュールをあらかじめ把握するため、本社人事や拠点長と相談する必要があります。(これに関しては法的拘束力がないので必ずしも後任者のスケジュールに100%合わせる必要はありません。)
1点注意しなければいけないのが本帰国時の引越し費用についてです。就業規則によっては、自己負担になることもあるので要確認です。
帰国後の退職手続きについても事前にどれくらいの期間がかかるか把握し、次の会社へ入社できる日に合わせましょう。
日本へ帰任して転職活動することが一番負荷がかかりませんが、駐在して1年未満や帰任のタイミングがわからない段階での転職活動の開始はおすすめできません。また退職してから転職活動するケースもありますが、人によってはストレスになるのでこれもおすすめできません。
2.現地採用社員が日本国内転職活動前に注意すべきポイント
現地採用社員の場合、まず在籍中の会社の雇用契約の確認をしましょう。
退職して日本へ帰国後に転職活動する場合、自身の家庭環境や貯金によっては不安になるかもしれません。また現地採用社員は日本の雇用保険に加入していないため、帰国後に失業保険を受けられないので注意しましょう。精神的な負担を考えると海外現地法人に在籍している時に転職活動をして内定をもらった方が心に余裕が持てます。
一番注意しなればいけないのが、現地採用の場合、海外現地法人の雇用契約にNotice Period (退職届を提出してから在籍しなければいけない期間)が含まれている点です。
大抵の場合これは2〜3ヶ月期間を設けます。
もしNotice periodより前倒しで退職する場合、Penaltyが発生します。 (例:Notice periodが3ヶ月で、退職届を出してから1ヶ月後に退職する場合、最新の雇用契約書に記載した給料の2ヶ月分を会社にPenaltyとして支払わなければいけません)。
このように、退職届を提出したタイミングによっては余分なコストが発生するため、雇用契約や就業規定を確認し転職活動をするタイミングを計画しておくことをおすすめします。
3.駐在員と現地採用員に共通する注意事項
本帰国する前に、在住している国の就労ビザや外国人労働許可証、住民証明書などのキャンセル手続きを済ませなければいけません。基本的に会社のHRがすべて担当しますが、国の情勢や行政機関の対応によって本帰国日が後ろ倒しになる場合があるので注意しましょう。
給与振り込み用の銀行口座を開設している場合、閉鎖しても維持しても基本的に本帰国日に影響はありません。ただし維持する場合、口座の出金記録がない状態が続くと自動的に凍結されてしまうので事前に銀行に確認する必要があります。
もし口座を閉鎖し残高を日本の口座に移したい場合、現地銀行窓口でやりとりが必要になるので維持するか閉鎖するか考えましょう。Transferwiseであればオンライン上で送金可能ですが、国によっては有効期限内の住民証明証か就労ビザが必要になり帰国後に送金できないというケースがあるので注意しましょう。
残った有給の消化についてですが、基本的には退職前に消化するように言われます。会社によっては払い戻しができる場合がありますので、人事へ相談することをおすすめします。
説明したこれらの例は必ずしも合っていることはなく会社の就業規則によって大きく異なります。そのため退職後や帰国後に会社とのトラブルを発生させないように事前に相談や確認しましょう。
4.まとめ
転職活動を始める前に、まず以下の点を確認しましょう。
駐在員の場合 | 現地採用の場合 |
・後任への引き継ぎ業務スケジュール ・本帰国にあたっての引っ越し費用について ・帰国後、本社での退職手続き内容 | ・雇用契約のNotice periodの期間 |
共有事項 | |
・就労ビザや労働許可証、外国人登録のキャンセル手続きのタイミング ・帰国後の現地銀行口座の扱いについて ・余った有給の処理について ・契約した拠点の就業規則
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内定獲得後の退職手続きや事前に確認と対応すべき点を怠ると、本帰国日が後ろ倒しになり内定先への入社日が遅れ内定取り消しになった経験がありますので、くれぐれもこのようなトラブルがないように、本社と現地法人と綿密なやりとりをして転職活動を成功させましょう。