Last Updated on 2023年10月1日 by 海外勤務のすすめ
2017年9月3日、北朝鮮は6回目の核実験を強行しました。
同年4-5月頃にも、「米国が北朝鮮に対して先制攻撃するのではないか」などの情報が飛び交い、対応に悩まされた企業もたくさんあったと思いますが、今回の核実験により状況は新たなステージに入ったものと思われます。
万が一戦闘状態になるような事案があった際は、日本にいてもリスクはあるだろうと思われますが、特に韓国に駐在者を置く企業、また出張が多い企業はどのような対応をすべきか、検討したいと思います。
参考記事:Jアラート発令時の企業の対応、具体的に何をすべきか?
本年4-5月頃にも北朝鮮情勢が緊迫する事態があり、その際に韓国への渡航延期をしなかった企業も、「次に核実験を実施したら渡航制限」という方針の企業が多い様に感じましたが、今回、その核実験をいよいよ実施したことになります。
北朝鮮と米国との戦争という事態は想像しづらいのですが、北朝鮮側の国境付近には多数の大砲がソウルを向いて隠されており、仮に戦闘状態になればソウルは火の海となる、と言われています。国境からソウルまで約40Kmしかありませんので、仮にこのような事態になればソウルは危機的な状況になることが考えられます。
また、在韓米軍とその家族が引き上げ始めたらいよいよ危ない、とまことしやかに言われていますが、仮にそのような事態になった場合、退避希望者で空港は殺到し、定期便も取りづらい状況となるでしょう。
ひとたび事が始まってしまうと、事態がどうなるかは我々一般人には分からず、不確定要素ばかりになります。そうなる前に、企業としては渡航制限をして、当地に社員を派遣しないという考え方が原則となります。
そのための対策としては、
・韓国への出張は原則延期とする
・帯同家族は帰国できるものとする、とするのが良いかもしれません。
仮に出張許可する場合でも、出張判断を厳格にし、上位の役職者の判断を仰ぐことも重要です。また駐在者に関しては、ソウルより南の都市に居所やホテルを移し、そこから通勤する事も考えられます。とにかくソウル市内での滞在時間を短くするよう、対策を考えることも重要です。
また、渡航する際の具体的な対策としては、以下が挙げられるかもしれません。
・旅レジへの登録
旅レジは出張の登録でも詳細に入力することで「短期在留届」にもなり得ます。在ソウル日本大使館からの情報を受け取れる体制を維持することをお勧めします。
・緊急連絡体制、通信手段の確認
本人と同僚、現地法人、本社、家族などと連絡が取れる体制を維持し、通信手段を確保するようにしておきましょう
・大使館作成の「安全の手引き」を確認しておく
下記は、在ソウル日本大使館、ソウル・ジャパン・クラブ作成の、韓国での安全の手引きです。
http://www.kr.emb-japan.go.jp/people/safety/safety_manual_2017.pdf
特に32ページ以降はかなり有用な情報の詰まった、緊急対応マニュアルになります。ソウル市内の避難所や大使館からの安否確認の連絡方法など、細かに書かれていますので、ソウル駐在者の方は是非ご一読ください。
・備蓄の準備
万が一事が起こってしまえば、安全な地域から動かないことも重要な選択肢となります。現地在住者は必要な食糧、医療品等、備蓄の準備をしておきましょう。
なお、オープンチケットの有用性については、下記の記事をご参照ください。
参考記事:海外からの緊急避難の時に使える?航空券のオープンチケットは有事の際でも有効か
何も起こらないことを祈るばかりですが、昨今の北朝鮮情勢は異常事態と言わざるを得ないと思います。企業としても慎重に対応して、社員の安全確保が求められるのではないでしょうか。