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2023年版 イスラム圏で注意すべきマナーと、主なイスラム教の年中行事のまとめ

Last Updated on 2023年10月1日 by 海外勤務のすすめ

海外へ出張する際は、その国のマナーや習慣を予め知っておくことで、思わぬトラブルを避けることができます。特にイスラム圏は、日本人になじみのない習慣があり、マナー違反で済まないようなタブーも多く存在します。

また、宗教に関する行事、イベントにも注意を要します。宗教に対する考え方は日本人と大きく異なる部分が多く、 彼らのアイデンティティや生活の根幹にかかわる重要なイベントも多数あります。

現地企業とのやり取りの上でも意識すべきものもありますので、今回はイスラム圏でのマナーや、年中行事の特徴、注意点についてお話します。

※2023年のイスラム年中行事のおおよその日程も記載しました。

1.イスラム圏で注意すべきマナー

広大なイスラム圏には、戒律を厳格に運用する国もあれば、寛容な国もあります。また、寛容な国でも戒律に厳しい地域や人々もおり、対応が悩ましいところです。

この辺りは濃淡があるので一概には言えませんが、一般的には外国人労働者の多い国や都市(アラブ首長国連邦(UAE)やレバノンなど)は、概ねオープンで比較的寛容、と言われております。

一方で、最も戒律に厳しいのがサウジアラビアで、その中間にあたるのが、バーレーンやカタールなどの国だと言われています。

これらの例はあくまで参考ですので、どの国でも以下の基本的なマナーを順守して注意を怠らないようにしましょう。

注意すべき点 その1 女性に対するマナー

近年は女性社員を擁する現地企業も増えていますが、女性をめぐるマナーの面では注意が必要です。

原則といて、「身体の接触をしない」ことが重要で、握手も基本的にはタブーです。また女性の隣の席に座ることさえもハラスメントだと受け止められる場合もありますので、女性の同席するミーティングや会食の際にはご注意下さい。

国によっては、ビジネス上でも女性担当者の連絡先を聞くことや、ビジネスの場で女性と対面することもNGという場合もあります。

外国育ちの現地女性スタッフなど、中には抵抗のない方もいますが、基本的には相手の行動や、同行する現地企業のスタッフの振る舞いを参考にされることをお勧めします。

また、日本からの出張者が女性の場合でも同様に、現地企業の女性がどのように振舞っているか観察されるのが最善です。特に現地取引先の男性が握手を求めてきたり、個人的な話をしてきたりする場合には、警戒をしたほうが良さそうです。

注意すべき点 2 アルコール類と豚肉

イスラム教では、飲酒は禁止されています。元来の教えは、酒を呑むことによって正気を失い悪行を働き、結果として人々を不幸にする、というものですが、昔のイスラム王朝であるアッバース朝時代には、毎夜宮殿で酒宴が開かれていたという記録もあり、現在も飲酒に寛容なイスラム圏の国もあります

UAEなど、条件付きで飲酒ができる国もありますが、イスラム教徒の国では基本的には飲酒はNGということを忘れないようにしましょう。

ちなみに戒律に比較的寛容なドバイでも、アルコール提供のライセンスを持っているレストランなど指定された場所においてのみ、飲酒が可能で、酔った状態で外に出ることは罰金、場合によっては投獄の対象にもなり得るので注意が必要です。

ご参考:ドバイ政府発行 ドバイのルール 「The Dubai Code of Conduct

また、豚はイスラム教では汚れた存在として、食べる事も触れる事も許されていません。イスラム教徒の方と食事をする時には、同行者や訪問先企業の方のお勧めする食事を聞いてみるのが良いでしょう。一人で食事をする際でも、周りの状況を考えてメニューを選ぶようにしましょう。

その他、注意すべき点

・親指を立てる手振りは、イスラム圏の国では相手を侮辱する行為につながりますので、しないほうが得策です。

・イスラム教の人たちは、熱心に礼拝を捧げます。当然ですが、礼拝中に大声で話す、礼拝中の姿を写真で撮るなど、礼拝に対して配慮に欠ける行為はNGです。また、信仰に関するローカルスタッフの要望などには極力耳を傾けるようにしましょう。

・肌をむやみに露出しないことも重要です。男性はイスラム圏ではタンクトップやショートパンツを履くことは避けてください。更に女性は肌を露出するのは、はしたないことと考えられていますので、肌の露出を極力避けるよう注意しましょう。

2.イスラム世界の年中行事について

イスラム圏では、一般的なマナーだけでなく、宗教上のイベントにも注意が必要です。宗教上のイベント期間中は、特に下記の点について注意が必要となります。

  • 訪問先企業との予定が組みづらい、ホテルや移動の混雑などが想定される。
  • 信仰心が高まる時期でもあり、一部過激派によるテロにも注意が必要。
  • 酒類の提供の禁止や、観光施設や店が閉まるなど、通常の生活とは異なる面もある。

これらのタイミングには、テロの警戒のため外務省からスポット情報が出される場合もあり、注意を要しますので、事前に把握、調査の上渡航することが必要です。

イスラム世界の年中行事について、特に重要なイベントを集めてみました。

※参考まで2022年の時期を記載していますが、ヒジュラ暦によるため毎年時期が若干早まりますのでご注意ください。

1.ラマダン(断食月)  2023年の場合、3月22日頃から4月20日 日没まで

ラマダンは、ヒジュラ暦の第9月の事。この月の日の出から日没までのあいだ、イスラム教徒の義務の一つ「断食」として、飲食を絶つことが行われる。断食を通じて、私利私欲を押さえ、悪口や悪意を排除し、他人のことを思いやり尊敬する精神を養うことが目的といわれる。

ラマダン期間中は、イスラム教徒にとって、敬虔、質素、節制の時期となる為、昼間、人前で飲食や喫煙をしないなどの配慮も必要となる。また、期間中は、昼間は飲食店などがクローズになる場合も多く、クラブ、ディスコ、マッサージ、カラオケ店等娯楽店の営業が制限されるなど、イスラム教徒以外の生活への影響も大きい。

2.断食月明けの祭り(イード・アル=フィトル)2023年は4月19日 日没 

犠牲祭と並ぶ、イスラム教の二大祭。

ラマダン(断食月)が明けたことを祝う大規模なお祭で大型連休となる国もある。多数の人々が移動するため、通常以上の大渋滞や、航空便等公共交通機関の混雑が見込まれる。

各年のラマダンの最後の日の翌日がこれにあたり、インドネシアなどではレバランとも呼ばれる。

3.犠牲祭(イード・アルアドハー) 2023年の場合、6月28日頃

アブラハムが進んで息子のイシュマエルをアッラーへの犠牲として捧げた事を記念する日。老若男女を問わず、犠牲祭に参加する全てのムスリムは正装してモスクに集うよう求められる。また、所有するヒツジやラクダ、ウシ、ヤギなどの家畜から生贄を供出することもでき、牛や羊が解体され、貧しい人々などに分け与えられる。

4.巡礼月(ハッジ) 2023年の場合、7月1日頃

イスラム最大の行事であるハッジ(大巡礼)は、世界中から300万人以上のイスラム教徒がサウジアラビアにある聖地メッカに集い巡礼を行う。巡礼は、イスラム教徒が生涯のうちにやらねばならない五行(信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼)の一つであり、ヒジュラ暦第十二月である巡礼月の8日から10日の時期を中心にメッカとその周辺地域で行われる。巡礼者は、カーバ神殿の周りを反時計回りに7周するタワーフと呼ばれる儀礼などを行う。東南アジアからの巡礼者も多く、シンガポールからは毎年3千人4千人、インドネシアからは20万80万人の巡礼者が訪れる。巡礼は、概ね14日程度の工程となる。

ポイント

<参考:過去の外務省によるスポット情報> (2015年08月27日)

サウジアラビアにおける巡礼月(ハッジ)期間中の注意  http://goo.gl/UkGuaZ

5.アーシューラー  2023年の場合、7月29日頃

イスラム教徒において重要な日のひとつであるが、シーア派の心の拠り所であるイマーム・フサインが殉教した日として、特にシーア派信徒にとって重要な意味を持つ。アーシューラーでは、フサインの殉教を哀悼するための大規模な行進が行われ、人々はフサインの死を大声で喚き、涙を流して嘆き悲しむ。さらに、フサインの棺を模した神輿が担ぎ出されたり、人々が鎖で自分の体を鞭打って殉教を追体験し、哀悼の意を表現するなど、熱狂的な儀礼が繰り広げられる。

パキスタン、アフガニスタンなどからイラン、イラクなど、広く中東地域で行われる。

宗教的な感情が最高潮を迎える特別な日となる為、シーア派社会のエネルギーが爆発する日でもあり、イラン革命においてはアーシューラーの日に行われたデモが大きな影響力を持ったと言われている。また、シーア派と敵対する宗派などによるテロ攻撃にも度々晒されている。

ポイント

<参考:過去の外務省によるスポット情報>(2015年10月16日)

パキスタン:宗教行事「アーシューラー」に関する注意喚起 http://goo.gl/xBKPEc

6.アルバイーン 2023年の場合、9月5日頃から(主にシーア派の行事) 

アーシューラーと対を成す、シーア派にとって重要な宗教行事の一つで、アーシューラーの40日後に行われる儀式。具体的には、預言者ムハンマドの孫であるイマーム・フサインの殉教40日目の喪明けの儀式であり、数百万人規模のシーア派の信者がイラク中部のカルバラーに向け巡礼、行進を行う。特にバグダッド市においては,同市内カーズィミーヤ地区にあるイマーム・カーゼム・モスクなどに多くの巡礼者が集まる。

パキスタン、バングラデッシュなどでは、チェヘラム(Chehlum)とも呼ばれ、同国都心部で信徒たちが大規模な行進を行う。

ポイント

<参考:過去の外務省によるスポット情報> (2014年11月27日)

イラク:イスラム教シーア派宗教行事「アルバイーン」に伴う注意喚起  http://goo.gl/gfxAvt

7.預言者生誕祭  2023年の場合、10月1日頃※シーア派ではこの5日後頃

預言者聖誕祭(マウリド・アン=ナビー)は、預言者ムハンマドのヒジュラ暦による誕生日に行われるお祭りで、スンナ派とシーア派で日付が若干ずれる。祝う対象がイスラム教の開祖ムハンマドであるために、イスラム世界において広くみられる聖者生誕祭(マウリド)のうちでも、特に盛大かつ広い地域で行われ、インドネシアなどでも祝日となっている。

生誕祭の前日から当日の夜にかけては信徒が大行列を組み、ムハンマドとアッラーフを称えながら行進する。一方で、預言者生誕祭の開催やその祭礼の内容が、非イスラム的な起源をもつと思われるような要素を多く含むことから、預言者生誕祭を反イスラム行為と見る厳格論もワッハーブ派などに存在する。 (参考情報の出典:日本貿易振興機構JETROウェブサイト)

いかがでしたか?このほかにも、大小さまざまな宗教的な行事がありますが、イスラム圏への渡航の際は、事前調査と準備を怠らず、時期も考慮して渡航するようにしましょう。

最後に、日系企業の出張頻度の高いインドネシアのラマダンについて、下記記事にてまとめました。こちらもご参考にどうぞ。

http://kaigai-susume-com.check-xserver.jp/ramadan-indonesia/

それでは、安全なご出張を!

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