Last Updated on 2023年10月1日 by 海外勤務のすすめ
最近はインドネシアへの出張者がずいぶん増えていると感じます。ジャカルタ近郊には大きな工業団地もあり、多数の日系企業が進出しています。
インドネシアはアジアで最大のイスラム教徒数を誇る国であり、特にラマダン、レバランの過ごし方には注意が必要です。今回は2023年のインドネシアのラマダン(断食月)及びレバラン(断食明け大祭)について記事を作成しました。
なお、イスラム圏全体の年中行事については、下記記事もご参照ください。
2022年版 イスラム圏で注意すべきマナーと、主なイスラム教の年中行事のまとめ
1.ラマダンとレバラン
ラマダンとは太陰暦であるヒジュラ暦の「9月」という意味です。一般的には日中の飲食を断つ断食月のことを指しますが、厳密にはラマダンは「月の名前」ということになります。
断食といっても、まるまる1ヶ月の間絶食するわけではなく、日没から日の出までの間(夕方以降から翌未明まで)は、食事を摂ることができます。
そのため、日没近くなると、街の飲食店には食事をしに来た人々が、店の開店を待っている風景が見られます。屋台なども夜遅くまで営業していたりしますので、食べる機会はきちんとあります。
ムスリムは、ラマダンの時には飲食を断つだけではなく、その時間帯は性行為、喧嘩、悪口を言うことなどを慎むという決まりがあります。
また、インドネシアでは、ラマダン後に「レバラン」と呼ばれる連休となります。インドネシア人の中にはレバランに合わせて、前後1週間程度休暇を取って帰省する人も多く大型連休となるため、この時期は日本大使館も休館となったり幹線道路が大渋滞となるなど、混雑が見込まれます。
2.2023年のラマダン期間について
・2023年のラマダン=3月22日夕方から4月21日の日没まで
※ラマダンは暦の関係で、毎年11日ほど早まります。ちなみに2024年のラマダンは3月11日頃からとなります。
※断食明けのレバラン休暇として、2023年は4月22日から4月26日までは、政府機関や企業も休業となります。
インドネシア政府は11日、2023年の祝祭日を発表した。イスラム教の断食明け大祭(レバラン)は、4月22~23日(土、日曜日)に設定した。レバラン休暇は、前後に設定する有給休暇一斉消化日4日間(4月21、24~26日)と合わせて6連休となる。(アジア経済ニュース)
3.一般的な注意事項
○お互いに相手の宗教に敬意を払うという気持ちが大切です。寛容な態度で臨むことが必要です。
○非イスラム教徒も断食中のイスラム教徒の面前での飲食・喫煙を控えるのが礼儀とされています。目につく形で日中に飲食する場合は、一言断る程度の配慮が必要です。
〇断食は異教徒への強制力はありませんが、食事ができる場所が日中は閉店したりするため、現地に出向く時のためにあらかじめ食事できる場所があるかどうかをリサーチしておくことをおすすめします。
〇現地に着いたら食べ物や飲みものを食べる前日の夜に買っておき、朝食や昼食の時間にそれをホテルの室内で食べるようにするのも良いでしょう。
○仕事は平常どおりにするのが義務とされており、必要以上に遠慮することはありません。
4.安全上の注意事項
テロへの警戒
ラマダン期間中は、イスラム教徒の信仰心が1年の中で最も高まる時期であり、一部のイスラム過激派が、狂信的に唯一神アッラーへの忠誠心を示そうとし、敵だとみなす者(イスラム教徒以外の者等)に対し、テロを実行することも十分に考えられます。
ラマダン期間中は、人ごみに長居しない、外国人が集まる場所に長居しないなど、警戒を怠らないようにしてください。
娯楽施設の営業時間
ラマダン期間中は、クラブ・ディスコ・マッサージ・カラオケ店等の営業が禁止または営業時間短縮となり、外国人でも警察の取り締まりの対象となりますので、注意が必要です。
窃盗等の犯罪の増加
レバラン前は、一般家庭では新しい洋服の購入、帰省の支度等に加え、物価も上昇するので出費がかさみます。例年、この時期には強盗・窃盗などの一般犯罪が増加する傾向にありますので、こういった犯罪に巻き込まれないように普段以上に周囲を警戒するなど注意が必要です。
また、家人が不在となる際は、「アパートスタッフなど住居関係者に対して、いかなる理由があっても第三者を勝手に部屋に立ち入らせないよう依頼しておく」、「現金や貴重品は目につくところに置かない」、「玄関,窓ガラス等各部屋の施錠を確実に行う」等を励行するようにして下さい。
5.その他ご参考事項
・ラマダン期間中やレバランでは、警察による街頭での身分証明書の確認・手荷物検査等が厳重に行われる傾向にありますので、身分証明書を常に携行するように心がけて下さい。
・警察官によっては、職務質問や軽易な違反にかこつけてチップ(賄賂)を要求してくるという事例も多数あります。
・インドネシア労働者の多くはレバラン時期にボーナスを受け取ることが多いようです。そのため、駐在者が運転手やメイドさんなどを雇用している場合、彼らがレバランのボーナスを求めることもあります。
いかがでしたでしょうか?
ラマダン期間中の出張の際は、現地駐在者や、取引先などから情報を収集したうえで渡航することをお勧めします。