Last Updated on 2023年10月1日 by 海外勤務のすすめ
突然フランスに一家で赴任が決まったら、一番に気にかけるのが子供の教育です。
特に中学校、高校選びとなれば、どんな学校を選べばよいのか、悩まれる方も多いのではないでしょうか?
今回はパリに長く在住されているufeoさん(女性)に、現地日本人子弟の教育について記事を作成頂きました。駐在が決まった方のご参考になれば幸いです。
なお、パリでの子女教育の小学校編は下記記事をご覧ください。
http://kaigai-susume-com.check-xserver.jp/paris-cp/
1.中学校
早速、フランスの中学校の教育制度から見ていきましょう。
1.基本情報
日本の中学校にあたるフランスの中等教育は、日本の小学6年中学3年にあたる4年間の過程で、以下のような学年呼称となります。
日本 | フランス |
小学校6年生 | 6ème |
中学校1年生 | 5ème |
中学校2年生 | 4ème |
中学校3年生 | 3ème |
参考
フランスの中等教育は前期をコレジュ、後期をリセと区別し、日本の中学校は前者に、日本の高校は後者に相当します。
フランスの中学では高校受験はありませんが、4年間の成績に基づいて、高校の進学先や過程に振り分けられます。コレジュ修了後には「BEPC」と呼ばれる修了証明書が与えられます。
2.日本と異なる点
(1)授業
フランスの地理的、政治的条件から言語の選択肢は英語の他、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、アラビア語など幅広い選択肢があります。また小学生もそうですが、昼食は給食の他、自宅に戻って取ることも可能です。
(2)行事
中学最終年の3 èmeに職業体験制度があり、興味のある仕事の職場で1週間研修を受けることができます。社会勉強の一環でこの経験で自立心を育みます。この時期、近隣の外国への修学旅行もあります。
3.学校選び
中学は自立心も芽生え、社会への関心も膨らむ多感な時期で、将来の目標や夢を実現するための礎となる過程です。
また深い友情が築けるのもこの時期。小学校から進学し既にフランス語が話せる日本人の子弟は、存分に現地フランス人たちと交流を深めて欲しいものです。
(1)現地の公立中学校:
住んでいる地区の公立の中学校には自動的に入学できます。フランス語が不安な場合は、地区に数か所ある外国人受け入れ体制完備の公立中学校に入るといいでしょう。フランス語の補習クラスも設置されています。
(2)現地の公立中学校1:リセ・ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ
パリ高級住宅地16区とブローニュの境にある中高一貫の国立校で、パリで日本語が第一外国語として正規時間内に学習できる唯一の公立校です。
ポイント
日本語セクションがあり、フランス語が母国語でない生徒のための補習クラスも充実し、日本人家庭や日仏家庭の子弟も多く在籍しています。
日本語図書館が設置されていたり、派遣教師を含め日本人教師も10名ほど配置するなど、日本人学生にとって安心して学習できる環境に配慮が行き届いています。
毎年開催される日本祭も人気で、フランス人との交流も盛んです。
【リセ・ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの基本情報】
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/world_school/05europe/sch5360000106.html
その他、「小学校」の章でご紹介した私立校、パリ日本人学校は小中一貫、リセ・インターナショナル、パリ・アメリカンスクール、パリ・インターナショナルスクールは、小中高一環の学校なので、そのままコレジュに進学することも可能です。
2.高校
1.基本情報
日本の高校にあたるフランスの中等教育後期はリセと呼ばれ、日本の高校1年3年にあたる3年間の過程で、以下のような学年呼称となります。
日本 | フランス |
高校1年生 | 2nd |
高校2年生 | 1ère |
高校3年生 | Terminale |
リセには以下の3種類の過程があり、自分の進路に合ったコースを選びます。
(1)普通教育課程
大学進学を目指す学生のための、大学入学試験(バカロレア)に向けた教育を受けます。
文系のLクラス、理系のSクラス、社会経済系のESクラスの3クラスに分かれ、最終学年でバカロレアの試験を受けます。合格すれば書類選考などにより、希望の高等教育機関に入学が許可されます。
(2)工業リセ
実用的な専門技術を習得する教育過程で、工業と言っても経営科学から実験科学、音楽、ダンスなど様々な工業高校があります。この過程で技術バカロレアを取得すると大学への進学も可能となります。
(3)職業リセ
就職希望者を対象に、職業資格の取得を目的とする教育を行う2年制の課程で、国家試験に合格すれば、「職業適格証(CAP)」と「職業教育免状(BEP)」を取得できます。
前者は料理や工芸など職人技に関する証明書で、後者は経理や秘書などの事務職に与えられる免状です。近年は、より多くの学生が大学入学資格を取得できるよう、教育資格と職業資格の共通化を図る政策が検討されています。
2.国際バカロレアとフランスのバカロレアの違い
日本人がフランスの国際学校などで取得するバカロレアは「国際バカロレア」と呼ばれ、「世界で承認登録されている高校の卒業証明書」であり、この証明書で海外でも大学入学権利を取得できます。
ただし、フランス国内でもグランゼコールなどのエリート校ではこの証明書は通用しないところも多いので、フランスでの高等教育を希望する場合は、一般のバカロレアを取得する必要が生じます。
3.学校選び
(1)現地の公立高校:ラシーヌ高校
公立の小中学校と同じく、居住地区の公立の高校にフランス語を母国語としない外国人受け入れ可能な高校では、自動的に入学できます。
パリ8区にあるラシーヌ高校は国立高校で、音楽、美術、演劇などの芸術を学べる特別授業の他、課外授業に設定されている日本語講座も人気の高校です。
日本から教師も派遣され、親日家の学生も多く日本人との交流にも積極的です。
【ラシーヌ高校の基本情報】https://www.ac-paris.fr/serail/jcms/p2_72834/fr/accueil
その他、「小学校」「中学校」の章でご紹介した私立校、リセ・インターナショナル、パリ・アメリカンスクール、パリインターナショナルスクールは、小中高一環の学校なので、そのままリセに進学することも可能です。
以上、フランスでの子女教育のご参考になれば幸いです。