Last Updated on 2023年10月1日 by 海外勤務のすすめ
海外生活での心配事と言えば「自宅の防犯対策」だと思います。今回は、海外駐在経験豊富なNICKさんに自宅の防犯対策についてインタビューをしました。
国によって事情が違いますので、香港などの中国・アジア大都市圏のサービスアパートメント、及び欧米の戸建て住宅について防犯グッズや対策をまとめてみます。
1.サービスアパートメントの場合
中国及びアジアの大都市においては、駐在員は基本的に治安の良い地区のサービスアパートメントや高級マンションに住むのが一般的です。
まずこのような高級マンションには、エントランスで居住者用の専用カード及び暗証番号などでセキュリティ管理されており、部外者はマンションのエントランスにさえ入れない仕組みになっています。
また、エントランスにはマンションの管理人とは別にガードマン(ウォッチマン)と呼ばれる監視官のような人がいて、部外者の場合まずこの人に「どこどこの誰に会いに来た」と説明をしないとエントランスに入れませんし、エレベータで登っていけません。旅行や出張などで長期で外出する際には必ずこのガードマンにその内容を伝えておくことをお勧めします。
また、何かの隙にそれをすり抜けて、犯罪者が自宅の階にたどり着いてしまう場合があります。そのため、もちろん自宅の戸締りは絶対に必要です。
しかしながら、基本的に空き巣などはドアのカギを開けることは朝飯前のため、ここまで来られてしまったら鍵は開けられてしまうものと思ってください。高級マンションでは、自宅のカギ自体がカード方式になっているところもありますので、カギよりは防犯レベルが上がります。
いずれにせよ、これを言ってしまっては元も子もありませんが、自宅にはできる限り貴重品は置かない(買わない)ようにして下さい(多額の現金、宝飾類、クレジットカード、パスワードなどのメモなど)。
火災について
防犯とは少し違いますが、アパートなどでは火災時も想定しておく必要があります。
特に高層マンションになるほど、はしご車が届かなくなる階層も多いため、予め延焼防止設備やスプリンクラー、シャッター、非常口の場所を確認しておくようにしましょう。
特に階段がフロアの片方にしかない場合は注意が必要です。また、火災時は煙に巻かれてしまうケースも多いため、下記のような防煙マスクなどを準備しておくようにしましょう。
香港・ジャカルタ・インドなどでは住み込み・通いのメイドを雇うご家庭が数多くあります。
香港はメイド文化が発達しておりますが、その背景には共働きが多く、子どもの面倒や家事が追い付かないこと、メイドに支払う料金が非常に安価であるということです。確かにその恩恵にあずかってメイドを雇う日本人家庭もありますが、私個人としてはお勧めしません。
基本的に駐在で赴任している日本人家族の奥様は働かないので、安いからと言ってメイドを雇う必要は無いと考えます。
メイドを悪く言うわけではありませんが、香港在住時代はメイドにまつわるトラブルを数多く聞きました。家のお金や貴重品がいつの間にか無くなる、見えないところで預けておいた赤ちゃんの体にアザができている、渡している食材費・生活必需品などのお金を差っ引いている、などです。
メイドのほとんどはフィリピンやインドネシアなど貧しい地域から出稼ぎで来ているため生きるために必死です。ある日家の貴重品を全部盗まれてそのまま本国へ逃げられてしまった、という例もあります。
アパートの管理人やメイド等、他人を信頼することは避けて、とにかく不要な人の出入りを避けることが何よりの防犯向上につながります。
2.戸建て住宅の場合
欧米では一軒家に住む方も多いと思います。
マンションとは違って管理人がいないため、防犯には気をつける必要があります。
欧米にも日本でいうセコムのようなシステムセキュリティがあり、そのような会社に費用を支払ってセキュリティ契約をしているご家庭も数多くあります。しかしながら、費用もかかるため、治安の良い地域であれば他の防犯対策があります。
防犯グッズについて
一つは自動ライトです。日本でもよく見かけますが、陽が落ちた後、人が通ると自動的にライトが点灯するシステムです。光は泥棒や空き巣が嫌うため効果があります。
ちなみに我が家では自動消灯点灯システムにはせず、暗くなると自動的に家の周りのライトが「付きっぱなし」になる仕組みになっています。LEDにすれば電気代も大したことないのでお勧めです。
このような防犯グッズは日本の通販で一通り揃いますので、持っていくのも良いでしょう。
セキュリティシステム
他にもダミーセキュリティシステム、があります。
これはセキュリティ会社と契約は全く関係ありません。単体の機械を購入してきて、ドアの傍に設置するだけです。家を出るときにボタンを押してセッティングをします。
帰宅の際にドアを開けると数秒以内にその機械に暗証番号を打ち込まないと大きな音が出る、という仕組みです。セキュリティ会社とつながっていませんが、これも泥棒には効果がありますので設置をお勧め致します。
また、これらの他にダミーの監視カメラを設置するという手もあります。あくまでもダミーですのでセキュリティ会社との契約もありませんし、実際に外の様子をモニタリングできるわけではありませんが、安価で済むのと、防犯効果としては同じ役目を果たすので効果的です。
また一軒家の場合は、周りの住人の方々と仲良くするようにしてください。そうすることによって、「他人の目」が生きることになります。いつもと違う車が止まっている、違う人がうろついている、など気にかけてくれるはずです。
いずれにせよ、中国・香港と同様に自宅には必要以上の貴重品は置かないように心がけて下さい。
寝室の対策
寝ている間など在宅時に侵入されるケースも考えておく必要があります。
特に、家族の寝室への入り口のドアは、可能な限り堅牢なものにしておくことをお勧めします。例えば、寝室の扉だけは内側からカギがかけられるようにしておく、扉のすぐ隣に棚を設置して、バリケード代わりにできるようにしておく、などの対策は必要でしょう。
また、寝室には携帯電話や、警報装置のボタン、警察や管理人室など緊急連絡先リストも準備しておきましょう。
夜間に泥棒に侵入されてしまったら、最も禁物なのは泥棒を退治しようと出ていくことです。相手は銃など武器を準備していることも想定できます。気づいたらすぐに警察や管理人などに助けを求めてください。
実際の被害実例
最後に一つ怖い話です。もう20年以上前になりますが、父親の仕事の関係でイギリスのロンドンに住んでいたことがあります。
日本からロンドンの自宅に送った引越し荷物が届き、数日経った頃に自宅に強盗が入りました。幸いなことに家族全員外出していたのですが、まだ開けてもいないダンボールの荷物ごと随分と盗まれてしまいました。
また、貴金属類、多額の現金、パスポート、家電なども全部自宅の見えるところに置きっぱなしであったため、全て盗まれてしまいました。もちろん戸締りはしていたのですが、当時の家は木製のドアでハンマーか何かで叩き割られてしまっていました。自宅のドアは通りから少し奥まったところにあり、外からは目立たなかったのも強盗にとっては好都合だったのかもしれません。
犯人は捕まらなかったのですが、後で警察に聞いた話によると、引越し業者のスタッフが怪しいとのことでした。特にローカルで家の中に入って作業をするワーカー(引越し、家電の設置、ガーデナー、デリバリ業者)の中には得体の知れない人もいるかもしれませんので、日本人で防犯意識の弱い状況を見て取るや、チャンスを伺っていたのかもしれません。家の中を見て「これは盗めそうだな、金目の物が置いてあるな」と思わせないことが重要です。
防犯には限りがありますが、まずは被害を最小限に抑えるために、自分でできること、を考えて生活してください。あらゆる人や物を疑うのは寂しいことですが、日本とは違う、自分は外国人として見られている(しかも日本人だと金を持っていると思われる)、ということをしっかり意識して生活するようにしてください。