Last Updated on 2023年10月1日 by 海外勤務のすすめ
企業の出張可否を判断する際に、外務省危険レベルに準じて判断している、という企業が大半かと思います。
参考記事:海外出張を許可する?しない?外務省危険情報レベルの企業の対応状況 相場観と安全対策について
一方で担当者からは、「外務省情報は遅い」、「一般的なことしか書かれていなく、どうすればいいかわからない」という反応もあります。
今日は外務省情報の他に、どんな情報が参考になるのか、見ていきたいと思います。
1.外務省情報の重要性
まずは外務省危険情報について触れておきたいと思います。
危険情報は、政府の判断で世界各地の危険度をレベル4段階で示しており、外務省海外安全HPから確認できます。
個人的には、外務省情報やサービスを使いこなしたうえで、ほかの国の情報を参考にすべきだと思います。
その理由としては、外務省の情報は
「日本の政府機関が邦人保護のために必要と判断して発出している情報」だからです。
外務省危険情報は、当然個人では知りえない情報を収集して作成されています。特に国内外の警察や国家機関、民間機関などから、国家が様々な情報を集約して、その上で「邦人保護」という観点から情報を掲載しています。
我々日本人にとってどうすべきか?どんな注意が必要か?を政府が発信していますので、企業にとってもこれ以上に参考になる情報は無いでしょう。
自社の駐在者が多い国の情報は、一度熟読されることをお勧めします。
更に、外務省の海外安全HPは、近年非常に充実してきたと思います。
世界中どこでも起こりうるテロへの啓蒙の意味もあるのだろうと思いますが、特に2016年のダッカレストラン襲撃テロ事件前後から、非常に細かく情報を発信しています。
具体的な情報コンテンツの一つとして、「たびレジ」があります。
旅レジについては、上記公式ページに解説がありますので割愛しますが、現地の生の情報がいち早く飛ぶようになりました。実際に外務省の邦人援護官の方の講演を聞いたことがありますが、外務省職員としても、近年は特に情報の速さ、正確性を意識して情報発信されているとのことでした。
また別の情報ということでは、「現地日本大使館の情報」というものがあります。
これは、現地の日本大使館独自で情報を発信、掲載することもあり、外務省情報が「本省」情報であれば、大使館情報は「出先」情報ということになります。
具体的には各大使館のHPをチェックしたり、大使館のメルマガに登録するなどの方法で情報を得ることができます。最近では大使館情報を旅レジに統合して配信しているケースも多いですが、大使館HPでレポートや資料などを公開しているケースもあり、ウォッチすべき情報かと思います。
例:インドネシア大使館:http://www.id.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/
他にも各地にある日本人会のHPなども参考になります。
上記はすべて、邦人の目線で書かれていますので、まずは「邦人に対してのアドバイス」という観点からチェックされることをお勧めします。
2.各国の海外危険情報
それでは、外務省情報に加えて、ほかに参考になる情報はあるのでしょうか?
有用な情報としては、米国、英国、豪州のアラート情報があります。これらは、いわゆる日本の外務省危険情報の各国版で、各国が自国民に対して、その国へ渡航する上でのアラート、アドバイスを発信しています。以下はグローバル企業の人事担当者が、外務省情報に加えて、参考にしているケースも多いでしょう。
米国国務省 アラーツ&ワーニングス
https://travel.state.gov/content/passports/en/alertswarnings.html
直近に発出されたアラートやワーニングの一覧です。
ワーニング(警告)のほうが、アラート(注意喚起)より重く捉える必要があります。
英国外務省 トラベルアドバイス
世界各国が一覧で表示されているので、任意の国をクリックし、青枠上段の「travel advice」をクリック。概況やアドバイスが見れます。
豪州外務省 スマートトラベラー
http://smartraveller.gov.au/countries/Pages/
大陸から国を選択して表示。一覧で危険度も色分けされており、個人的には読みやすくオススメです。
これらは一般的には日本の外務省より、直接的な表現で、且つ情報が早いという特徴があります。(日本の外務省も各国と調整しながら、危険情報を更新しているのかもしれません。)
また、欧米ならではの視点のアドバイスも多く、例えば「近くでテロがあったら、家族に無事を連絡してください」などの具体的な対策アドバイスも得られます。
欧米の情報は、以下のような活用のタイミングがあるかもしれません。
・外務省危険情報のみでは判断材料に不足する場合
・海外現地採用者が第三国に渡航する際のアドバイスや対策
・警戒時(暴動・騒乱時)の退避判断の先取り
いかがでしたでしょうか?
海外出張の可否判断を迷う際には、外務省の情報をベースに、各国の情報も踏まえて検討されることをお勧めします。
ただ、これらはあくまで概況情報ですので、この情報を踏まえて、どのような「対策」をとるかが重要です。また、当地の概況情報より、よりピンポイントな情報が必要な際は、現地にいる駐在者や取引先、同業他社などからも情報を収集したうえで、渡航する上で必要な対策を判断すべきでしょう。