Last Updated on 2023年10月1日 by 海外勤務のすすめ
経済発展著しい中国の中でも、広東省の省都広州市は特に経済の発展した地域です。
ところが、当地のタクシー事情は、まだまだ日本のように安全なものとは言えません。
今回は中国への出張経験の豊富なrwioiさんに、中国タクシートラブルを記事にして頂きました。
rwioiさんが現に体験した広州のタクシーびっくりエピソード3つを、紹介させていただきたいと思います。ちなみにこのエピソードは2018年6月頃のものです。
1.タクシーの料金交渉
私は、出張先の倉庫の立地の関係で、広州市中心部から約30kmほど離れた広州北駅近くのホテルに泊まっていました。
折角の出張の機会ですので、仕事終わりに広州の町場に出て色々見て回ったのですが、気が付くと夜11時になっていて、地下鉄の終電も乗り逃してしまいました。
止むなく、広州駅付近の流しのタクシーを拾ってホテルに帰ろうとしたのですが、広州のタクシーは夜間はメーターを倒しません。
タクシーがなければホテルに帰れないだろうと、こちらの足元を見ているわけです。
実際その通りなので、仕方なく交渉をします。
相場が大体120元くらいと聞いていたのですが、深夜割増のつもりで150元で合意しました。
と、運転手が盛んに「高速で行くかどうするか」と聞いてきます。
翌日仕事に早く出なければいけなかったので、「まぁいっか」と同意。
すると高速道路に入ったや否や、運転手氏は「高速は遠い、高速は遠い。」とつぶやき続けるのです。
これは恐らくぼったくられるなと身構えていると、案の定こういってきます。
「高速で遠回りしたからガソリンを余計に食った。だからやっぱり500元よこせ。」
と言ってきます。
500元というのは、当時のレートで大体1万円弱です。
とんでもないということで、
「馬鹿野郎、俺をただの日本人だと思ってるのか?現に俺は中国語しゃべれるだろう?
こんな無茶苦茶いうんだったらお前、110番するぞ。お前捕まるぞ?え?」
とブロークンチャイニーズで怒鳴りつけてやると、いきなり500元が250元に値下がり。
「ねえ、250じゃダメ?じゃあ240、いや230でいいから…。」
と先ほどの勢いはどこへやら、すっかり弱腰になってしまった運転手氏。
確かに高速でいくらか遠回りしたのは事実なので、腹の中では200元は出そうと決めていたのですが、この運転手氏、意固地になって220よりは値下げできないと言い張ります。
こちらは赤い毛沢東の100元札を2枚叩きつけて、「もうここで降ろせ!」と叫んで運転手氏とおさらばしました。
ただ、啖呵を切ったところまでは良かったのですが、Google Mapで調べるとホテルまであと3kmも歩かなければいけないことが判明。
何とも言えない痛み分けの結果に終わりました。
【教訓】
・中国では夜中タクシーに乗ってはいけない。
・ブロークンでも最低限の中国語は覚えておこう。
・中国人は警察に弱い。※これ、万国共通でないところに注意です。
2.タクシーの乗り継ぎ?
先ほどご紹介したタクシーぼったくりのエピソード、怖いといえば怖いものですが、ありふれているといえばありふれた話です。
しかし、中国広州のタクシーの闇()は深い…。
日本人には想像できないことが起きるのです。
夜ひとしきり街歩きをしてやはり広州北駅周辺のホテルまでタクシーで帰ろうと広州駅周辺をブラブラしましたが、なかなかタクシーが捕まりません。
10分待って結構ぼろそうなタクシーがやってきまして、ちょっと不安でしたが仕方がないということで、乗車することにしました。
値段自体は150元ということで適正価格だったのですが、なにせタクシーが古く、スプリングがうまくきかないのでガタガタいいながら走るのがなんとも不気味でした。
無事ホテルまで着いてくれるのかなと、不安に思っていた矢先、何かタクシーが数台たむろしている駐車場にタクシーが滑り込み、運転手が無言で車を降りていきます。
何が起きるのかとびくびくしていたら、「タクシーを降りて別のタクシーに乗れ」と言ってきます。
「お前がホテルまで行くって言ったじゃないか?代金をまた取るんだろう?」と警戒しながら聞いてみました。
すると、「いやもう一銭も取らないから、いいからこのタクシーに乗れ。」
とちょっとおなかが出た別のタクシーの運転手を指さします。
普通の日本人の感覚からすると、恐怖心に震え上がるシチュエーションではありますが、結局宿まで帰るのには彼らを信用するしかありません。
止むなく指定されたタクシーに乗り込み、「お前どこに行くかわかってるか?」と聞くと、
「大丈夫大丈夫。」と陽気に受け流します。
最初に乗ったタクシーの運転手が丸刈りで、香港マフィアの下っ端のような雰囲気を醸し出していたのに比べると、人が好さそうなので少し安心しました。
iPhone上の地図を見ても、順調にホテルの方向に向かっています。
と、突如このタクシーがまた何か停車しようとするのです。
良く聞き取ると、「ガソリンを入れないといけない。」と言っているようなので、中国のガソリンスタンドを見ておくのも何かの勉強になるかなと思い、了承します。
ガソリンスタンドにつくと、「まあ、あんたも車を降りなさい。」といっているので、勧められるままに車を降りると、「タバコはどうだい。」と勧めてきます。
私は年に2,3本しかもらいタバコを吸わないのですが、中国のタクシーの運転手にタバコを勧められることもそうそうないかなと思い、「謝謝」といって一本頂きます。
この運転手氏、お前は何人だと聞くので「ズーベン(日本)」というと、「日本車は良いねえ」とお世辞を言ってくれます。
「あんたの車は韓国車だろうよ。」と聞くと「日本車は高い。」といいます。
この運転手氏、車が好きなようで、「日本車は燃費がいい、アメ車はガタイがいい。」とかなんとか言っています。
「ところであんたのお国はどこよ。」と私が聞くと「武漢から出てきた。」と。
武漢は仕事がないので広州に出稼ぎにきたとのこと。
武漢出身の労働者は広州に結構多いといっていました。
給油も終わって一路ホテルに、結局この運転手さんは私から一銭も取ることはありませんでした。
それにしてもなぜ私はタクシーを乗り継がなければいけなかったのでしょうか。
会社の後輩に中国人がいたので聞いてみると、結局遠方まで夜タクシーを飛ばすと帰りには客が取れずにガソリンが無駄なので、途中で目的地界隈で営業しているタクシーに客からもらった代金の一部を支払って送ってもらうことがあるそうです。
なるほど、それはそれで合理的だわと納得してしまいました。
【教訓】
・外国で予想外のことが起きても無駄にじたばたしない。
・外国にも(当たり前だが)気のいいおっちゃんはいる。
・日本でも「40過ぎたら自分の顔に責任を持て」というが、外国人でも性格は大体の雰囲気でわかる。
3.タクシーの領収書トラブル?
私の泊まっていたホテルは広州北駅周辺で、広州市中心部からすると少し田舎の方です。
なので、ホテルでも英語や日本語は通じません。
その日は朝の11時の便で広州からハノイに移動しなくてはいけませんでした。
そこで、その前の晩にフロントのお姉さんに「8時に空港までタクシー1台宜しく」とお願いしておきます。
中国人というのは、世界の中でも割合に律義で真面目な民族で、こういうお願い事をしておけば大概きちんとやっておいてくれます。
その日は律義さが過ぎて、8時3分に部屋で荷物をまとめていたら、電話が鳴って「早く来い。タクシーはもう来ている。」とのこと。
ずいぶんと几帳面な人だと感心してフロントに向かうと、ソファーを指さして「ここに座れ。この人といっしょに行け。」というのです。
そこには、明らかに度惑い顔の日本人ビジネスマンと思しき人が、茫然とこちらを見つめながら座っていました。
「お、OK」
とりあえず、この妙なアレンジメントを拒否したところで結局広州空港まで着かなければ次の出張先まで行かれません。
郷に入りては郷に従えがすっかり板についてしまった私は、明らかに戸惑いっぱなしの日本人某氏に話しかけます。
「なんか二人一緒にタクシーに乗って行けって言ってるみたいですね…。」
「え、そうなんですか…。私中国語全くわからないんですけど、なんかソファーを指さして何か言ってるから、とりあえずここで待ってたんですよ。」
フロントのお姉さんの電話は、この人とタクシー相乗りだから急げってことだったのです。
なんとも日本人某氏には申し訳ないことをしました。
外にはタクシーが待っています。
さすがに一泊2000元(8000円弱)とるホテルですから、呼んでくれるタクシーはまともです。
ボロくもなければ、ぼったくられることもなく、メーターを倒していざ空港まで出発です。
折角タクシーに乗り合わせたので、日本人某氏と少し世間話をしてみたところ、氏はなにやら突然自社の納入した工作機械の具合がおかしいから、1週間広州に行って直して来いといわれてようやく直して帰国するところだそうです。
どことは書きませんが、日本有数の高給で有名な某製造業企業のエンジニアさんでした。
「どこの会社もめちゃくちゃですねー。うちは広州2週間の次はハノイに2週間ですわ。」
とおしゃべりしながらタクシーを降りる段になって、
「あ、そういえば領収書いりますよね?」
と二人で声を揃えました。
運転手さんになんとか二人とも領収書がいるから半額ずつの領収書を切ってくれと必死に伝えようとしたのですが、悲しいかな私のブロークンチャイニーズではそこまで意思を伝えられません。
すると、やおら運転手さん、メーターの向こうにある紙をごそごそといじりだして、2枚のレシートを渡します。
180元掛って90元ずつ割り勘したところ、1枚は175元、1枚は185元と書かれたレシートを差し出してきます。ただし、日付はその1日前の物。
しばし彼の行動の意味が解せなかったのですが、「大体同じくらいの額のレシートあげるから、適当に処理してよ。」という意味だと理解しました。
なるほど、中国の法治国家化は遠いとしみじみ思いました。
【教訓】
・中国支社に転勤になったら、すべての領収書は不正なものだと疑ってかかること。
・中国支社に転勤になったら、(多分)清濁併せのまないとやっていけない。
以上、中国のタクシートラブルをご紹介しました。
皆さんのご参考になれば幸いです。